第89章 彼女の気まぐれに付き合うだけさ、適当に競り落とせ

その夜、二人は用事を片づけると、そのまま青城山荘へ向かった。

今夜のオークションは格が違う。招待されるのは、財力か地位か――どちらにせよ「持っている」連中ばかりだ。

会場に着いた時点で、すでに客はかなり入っていた。

藤井一輝は身分も顔も利く。席は当然、最前列。

一方、南雲玲奈の招待状は西野亮平から回ってきたものだったが、位置は藤井一輝よりもさらに良い。中央に最も近い、いわば特等席だ。

二人は並んで座ることにした。

座って間もなく、すぐそばに人影が差す。

玲奈は気づきもしない。手元のカタログに視線を落としたまま、出品リストを追っていた。

――と。

藤井一輝が、指先で彼女の腕を...

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